2023 FIM世界耐久選手権(EWC) Rd.1 ルマン24時間レース

日程 2023.04.14 , 04.15
サーキット ブガッティサーキット
ライダー グレッグ・ブラック / シルバン・ギュントーリ / エティエンヌ・マッソン
予選 1位
本戦 7位

開幕戦ル・マンで最後まで戦い抜いた ヨシムラ SERT MOTUL

フランス、ル・マンのブガッティサーキットで行われたFIM 世界耐久選手権開幕戦24 Heures Motosで、ヨシムラ SERT Motulは序盤の転倒により最後尾から追い上げるレースとなった。しかしライダーとクルーが最後まで諦めずに奮闘し、24時間後のチェッカー時には7位までポジションを回復し、貴重なポイントも得て開幕戦を終えた。

EWC開幕戦に選ばれているル・マンはSERTの本拠地であり、ブガッティサーキットは、新生チーム結成以降2連勝してきたサーキット。今シーズンもチーム・マシン共に仕上がりが良く、ポールポジションも獲得でき、幸先の良い形で3連覇への期待も膨らんでいた。

スタートを切ったのはグレッグ・ブラック選手。スタートライダーとしての実績のあるブラック選手は今回もホールショットを決めたが、多くのライダーがひしめき合う1周目の1コーナーで他チームと接触し、まさかの転倒。滑走しながらコースを外れ、グラベルに入ったところでマシンは回転を始め、甚大なダメージを被ってしまった。幸いブラック選手にケガはなく、大きく損傷したマシンをグラベルから引き出しピットへ戻した。熟練のピットクルーが修復に取り掛かり、僅か17分後、新品同様に修理されたGSX-R1000Rに再びブラック選手が跨り、レース開始から約29分後に18周差でレースに復帰した。

ル・マン3連覇の夢はスタート直後に失われてしまったが、しかし選手権においてポイントを得るためのチャレンジは始まったばかり。ヨシムラ SERT Motulの決して諦めない耐久スピリッツを胸に、グレッグ・ブラック、シルバン・ギュントーリ、エティエンヌ・マッソン各選手は残り23時間半の戦いに臨んだ。

気温が著しく下がり難しいコンディションとなったナイトセッションでもハイペースを維持したヨシムラSERT Motulライダーは、12時間経過時点では21位までポジションを回復。さらにミスなくレースを運び続けたことで夜明けを迎える頃には7位を走るという、驚異的な追い上げを達成していた。終盤にはギュントーリ選手が、他のマシンから漏れたオイルに乗ってタイヤバリアに激しくぶつかる転倒を喫したものの、セーフティーカー導入中に修理を済ませることができ、タイムロスは最小限に抑えられた。

2度目の転倒の後も、ヨシムラSERT Motulの戦意は衰えず、我慢のレースとなった開幕戦をライダー・クルーがチェッカーが振られるまで力の限り戦い続けた。その結果7位でゴールし、23ポイントを獲得しチャンピオンシップにおいても7位につけた。

FIM EWC第二戦24H Spa EWC Motosは6月16日から18日、ベルギーのスパ・フランコルシャンサーキットで開催される。

加藤陽平 チームディレクター

私達のルマン24時間耐久3連覇への挑戦は1周目の1コーナーで実質終わってしまいました。他車との接触による転倒となりますが、これもレースの一部です。
マシンは大きなダメージを受けましたが我々のクルーは驚異的なチームワークを発揮し、修復時間17分でマシンをコースに戻す事が出来ました。
それ以降もチーム全員が今年のチャンピオンシップ奪還の為に、高いモチベーションを切らす事無く戦い続け、7位まで順位を押し上げ、予選ポールポジションでの5ポイントと合わせて23ポイントを獲得する事が出来ました。
この結果について、ライダーとチーム全員に有難うを言いたいと思います。
また、ファンの皆さんから多く頂いた励ましの言葉も我々のモチベーションを高く維持する為の糧となりましたので、この場をお借りして感謝申し上げます。
まだこれからもチャンピオンシップは続きます。チーム全員で前を向き、このヨシムラチューンのスズキGSX-R1000Rの素晴らしいパフォーマンスで、初戦で逃したポイントを取り返していきたいと思います!皆様の応援、有難うございました。

ダミアン・ソルニエ チームマネージャー

我がチームにおいて諦めるという選択肢はありません。出しうる力をすべて出し切り、難しい状況の中でもチャンピオンシップにおけるポイント獲得ダメージを最小限にとどめるべく、チーム一丸となって奮闘しました。序盤のクラッシュはとても激しいもので、その状況を考えると我々は非常に良く対応できたのではないかと自負しています。バイクはピットに戻ってくることができ、短い時間で修理することもでき、そしてなによりブラック選手に怪我がありませんでした。我々にとってはここから改めてレーススタートをしたようなものですが、耐久レースで多くの時間をロスした場合、さらにアグレッシブにペースを上げ、そしてリスクも負っていかなくてはなりません。そんな中、3人のライダーは本当に良く頑張ってくれました。終盤にシルバンがオイルに乗り転倒を喫しましたが、最終的に7位でゴールすることができ、今回の状況を考慮しても獲得し得た最大の結果を引き寄せたと言えるでしょう。結果だけを見ると残念ではありますが、チャンピオンシップにおいては何も終わったわけではありません。チームの実力は本物ですから。

グレッグ・ブラック選手 (ライダー・ブルー)

ポールポジションからスタートしホールショットを決めたのですが、1周目1コーナーで接触があり転倒してしまいました。トップ争いからはスタートして僅か300メートルで離脱してしまったのですから、レーシングインシデントとはいえとても残念です。コースに復帰してからのレース運びは常に順調でした。マシンの信頼性は高く、ピット作業も迅速で、本来だったら優勝か、少なくともポディウムフィニッシュは飾れたペースで戦い抜けました。我々はさらに強くなって2戦目へと向かいます。まだまだ獲得できるポイントは多く、今回の結果で決定的な損失を負ってしまったとは思っていません。

シルバン・ギュントーリ選手 (ライダー・イエロー)

序盤の転倒はアンラッキーでした。グレッグに責任はないですが、結果としてこの転倒により苦しいレース展開を強いられました。チームにとっては過去2年のようにとても良い成績が見込まれていただけに最終的な結果は残念ですが、ポールポジションを獲得できていたのでスピードを証明できた点においては一定の満足感は得ています。またあの激しいクラッシュから短時間でマシン修復を成し遂げたピットクルーには特に感謝しています。終盤に僕自身もオイルに乗って激しい転倒をしてしまいました。耐久レースにおいて運に見放されると、色々難しくなるものです。

エティエンヌ・マッソン選手 (ライダー・レッド)

当然、結果には失望しています。グレッグのクラッシュの後は少しでもポジションを上げてポイントを獲得できるよう気持ちを切り替えてモチベーションを高めました。修理されたマシンは走行復帰後の序盤は細部の微調整を要したものの、その後すぐにリズムをつかむことができハイペースで走行することができました。以降のレース運びは順調だったのですが翌日の正午に再び運悪く転倒がありました。それでもチャンピオンシップのポイントは稼ぐことができました。本来、勝利を目指せる実力のあるチームなので、この状況でもしっかりとポイントを確保できたことを自信に、次のスパに向けて準備していこうと思います。

公式予選

順位 チーム マシン 平均タイム
1 ヨシムラSERT Motul SUZUKI GSX-R1000R 1:37.153
2 YART – Yamaha Official Team EWC YAMAHA YZF-R1 1:37.242
3 F.C.C. TSR Honda France HONDA CBR1000RR-R 1:37.764


決勝レース結果

順位 チーム マシン 周回数
1 F.C.C. TSR Honda France HONDA CBR1000RR-R 827ラップ
2 YART – Yamaha Official Team EWC YAMAHA YZF-R1 825ラップ
3 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM BMW M1000RR 822ラップ
 
7 ヨシムラSERT Motul SUZUKI GSX-R1000R 805ラップ



ポイントランキング

順位 チーム ポイント
1 F.C.C. TSR Honda France 63P
2 YART – Yamaha Official Team EWC 54P
3 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM 39P
4 ERC Endurance Ducati 38P
5 HONDA VILTAIS RACING 36P
6 TATI TEAM BERINGER RACING 33P
7 ヨシムラSERT Motul 23P
8 Kawasaki Webike Trickstar 23P
9 Wójcik Racing Team EWC 17P
10 Team Bolliger Switzerland #8 16P

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