2023 FIM世界耐久選手権(EWC) Rd.4 ボルドール24時間レース
日程 | 2023.09.15 , 09.16 |
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サーキット | ポールリカール・サーキット |
ライダー | グレッグ・ブラック / シルバン・ギュントーリ / エティエンヌ・マッソン / 渥美 心 (リザーブライダー) |
予選 | 2位 |
本戦 | 1位 |
ヨシムラSERT Motul ボルドールで劇的勝利
ヨシムラSERT Motulは2023年FIM世界耐久選手権最終戦、ボルドール24時間耐久レースにおいて圧倒的な勝利を手にし、総合ランキングでは2位に浮上しシーズンを終えた。
今シーズンのヨシムラSERT Motulは、各ラウンドで不運が続き、チームの実力を発揮できないでいたが、最終戦のボルドールこそは良い結果を残すべく臨み、本来の競争力を出し切って最高の結果を手に入れた。
最終戦に対する決意は予選の時から発揮され、3人のフランス人ライダー:グレッグ・ブラック選手/シルバン・ギュントーリ選手/エティエンヌ・マッソン選手は、ゼッケン12のスズキGSX-R1000Rで総合2番手タイムをマークした。
レースは9月16日(土曜日)、中央ヨーロッパ時間の午後3時にスタート。決勝直前に降った雨によりウェットコンディションとなっていたにもかかわらず、スタートを得意とするグレッグ・ブラック選手は、ホールショット奪い、スタート後の数周はトップを快走。レース序盤においてはトップタイムをマークするなど、幸先の良い出だしとなった。
レースが進むにつれて、主なライバルとの激しいバトルが展開され、中でもトップ3チームはピットストップの度に順位が入れ替わる接戦が続いた。この時点で路面は乾いていたものの、強風によりポールリカールサーキットのコンディションは引き続き難しいものとなっていた。トップ争いの接戦は続き、どのチームも決定的なマージンを築けずに夜が更けていく。
ヨシムラSERT Motulはブラック選手による軽微な転倒を経ながらもライバルにプレッシャーをかけ続ける好走を続けていた。
コース上ではブラック/ギュントーリ/マッソン各選手が安定したパフォーマンスを維持し、ピットではミスのない作業と給油が確実に遂行されていた事で、ヨシムラSERT Motulは節目となる8時間/16時間経過時点でいずれもトップを走行。このおかげで20ポイントのボーナスポイントも獲得し総合順位に大きく貢献した。
スタートからトラブルなくレースを進めていたヨシムラSERT Motulは夜間でも速いペースを維持し、夜明けを迎える頃には2位以下を大きく引き離すマージンを築くことに成功。ただ耐久レースにおいてはチェッカーフラッグを受けるまでは何が起きるかわからない。
それを証明するかのように残り3時間半というタイミングでコース上に他チームが撒いてしまったオイルに乗り8台ものマシンが次々と転倒を喫してしまった。その中の1台にブラック選手が乗るGSX-R1000Rも巻き込まれたのだった。幸いにもマシンへのダメージは最小限であり、ブラック選手はすぐさまピットに戻り、迅速な修理を行って再びトップでレースに復帰することができた。
このレース中、唯一大きな問題となった出来事は、まだ夜明け前の走行中にギュントーリ選手が予定通りのスティントをこなす事ができないほどの体調不良に襲われたのだ。
これにより夜明け前からは、ブラック選手とマッソン選手の2人体制でチェッカーまでレースを続ける事となった。ギュントーリ選手はその後サーキットメディカルのサポートで回復したが、今シーズン限りで耐久レースの参戦終了を表明していたため、6スティントの走行で耐久レーサーとしてのキャリアを終える事となった。
難しい局面も少なくなかったボルドール戦ではあったが、終わってみれば2位以下に7周もの大差をつけての完全勝利を達成した。
ヨシムラSERT Motulは、ライダー達の強固な意志によるコース上でのパフォーマンスと、迅速で確実なピット作業によりチームはこの勝利をあげる事ができた。圧倒的な実力をいかんなく発揮できた事で、チャンピオンシップにおいても総合2位をもぎ取る事に成功したのだ。
加藤陽平 チームディレクター
この素晴らしい結果により、やっとプレッシャーから解放されました。レースの大半を先頭でコントロールする事ができていましたが、また何かが起きるんじゃないかと不安もあり、チェッカーフラッグを受ける瞬間までとてもストレスを感じる24時間でした。我々チームの努力が報われ、今シーズンやっといい結果を残す事ができました。SERTの皆さん、ヨシムラの皆さん、Motulをはじめスポンサーの皆さん、そして応援してくれたファンの皆さんに改めて感謝いたします。
この世界耐久レースの舞台で、SUZUKIは勝利を収めました。これからも我々は闘い続けます。
ダミアン・ソルニエ チームマネージャー
2023シーズンは、開幕戦ル・マン、そして続くスパと鈴鹿、いずれも上位を狙える実力はあったのですが結果に結びつけられず、とても複雑な心境でした。
我々は、ここボルドールでやっと全てのピースが噛み合い、素晴らしい勝利となって最高の結果に繋げる事ができました。
チャンピオンシップの観点からは、かなり望みは薄いものの、まだ総合優勝の可能性が残されていましたが、ライバルも強く、一歩及びませんでした。
ただ、この勝利は大変価値のあるものです。我々の士気は高く、来シーズンもこの世界耐久に臨みます。レースウィーク中も素晴らしい働きをしてくれたチーム全体に、そしてもちろん、最大限のパフォーマンスを発揮してくれたライダー達にも感謝します。
最後にメカニックのポロに対して特別に感謝の意を伝えたいと思います。
彼は旧SERT時代から43年間チームで戦い、今シーズンをもって引退するのです。
グレッグ・ブラック選手 (ライダー・ブルー)
特に僕にとっては、紆余曲折あった信じられないようなレースでした。ウェット路面でレースをスタートし、夜間に突入する所で一度転倒。その後、夜明け頃からエティエンヌと二人でスティントをこなし、さらに20時間を超えたところでオイルに乗って転倒したのですから。複数台の転倒だったので、他のマシンにぶつかられずに無事復帰できたのが幸いでした。本当に色々あって難しいレースでしたが、最終的に勝利で終わるというのは最高です。素晴らしい仕事をしてくれたチームメイトとテクニカルスタッフ全員を祝福したいと思います。
シルバン・ギュントーリ選手 (ライダー・イエロー)
このボルドールでチームが勝利に輝いた事は本当に嬉しく思います。しかし、24時間のレースは非常にタフであることは良くわかっていますから、最後までチームメイトをサポートし続けられなかった事については申し訳なく思っています。前半の6スティントまでは最大限の力を発揮しましたが、予期せぬ体調不良により継続する事は不可能でした。グレッグとエティエンヌは勝利へと最高の走りを見せてくれました。チームにとって、この最終戦は来季に向けての前向きな勝利となりましたし、僕にとってはこのチームと共に過ごした素晴らしい冒険の日々に終止符を打つ最高の記念となりました。
エティエンヌ・マッソン選手(ライダー・レッド)
勝利をものにするというのは本当に気持ちの良いものです。チーム全体の努力・苦労が報われますね。また、激しい体調不良にもかかわらず限界まで役割を果たし続けたシルバンを称えたいと思います。夜明け前からはグレッグと二人で最後まで戦う事となった訳ですから、当然、より難しい状況にはなりましたが、二人とも体力的に問題はなく、しかも粘り強く最後まで諦めないヨシムラ SERT Motulのクルー達と共に戦っているのですから、皆の思いと共にチェッカーまで全力で駆け抜ける事ができました。
公式予選
順位 | チーム | マシン | 平均ベストタイム |
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1 | BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM | BMW M1000RR | 01:51.658 |
2 | ヨシムラSERT Motul | SUZUKI GSX-R1000R | 01:51.665 |
3 | F.C.C.TSR Honda France | HONDA CBR1000RR-R Fireblade SP | 01:51.864 |
決勝レース結果
順位 | チーム | マシン | 周回数 |
---|---|---|---|
1 | ヨシムラSERT Motul | SUZUKI GSX-R1000R | 717ラップ |
2 | HONDA VILTAiS RACING | HONDA CBR1000RR | 710ラップ |
3 | BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM | BMW M1000RR | 709ラップ |
ポイントランキング
順位 | チーム | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | YART – Yamaha Official Team EWC | YAMAHA YZF-R1 | 181P |
2 | ヨシムラSERT Motul | SUZUKI GSX-R1000R | 161P |
3 | BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM | BMW M1000RR | 160P |
4 | F.C.C. TSR Honda France | HONDA CBR1000RR-R | 149P |
5 | HONDA VILTAIS RACING | HONDA CBR1000RR | 127.5P |
6 | Kawasaki Webike Trickstar | Kawasaki ZX-10R | 106.5P |
7 | TATI TEAM BERINGER RACING | Kawasaki ZX-10R | 57P |
8 | MACO RACING team | YAMAHA YZF-R1 | 54.5P |
9 | Team LRP Poland | BMW S1000RR | 49.5P |
10 | KM99 | YAMAHA YZF-R1 | 48.5P |