ヨシムラSERT Motul、2024 FIM 世界耐久選手権で目指すはチャンピオン!
2024年FIM世界耐久選手権がいよいよ幕開する。
フランスのブガッティ・サーキット(4.185km)で開催されるルマン24時間レース(24 Heures Motos)は、耐久レースで行われる「ルマン式スタート」の呼び名からも伝統と歴史的な重みを感じられるが、ヨシムラSERT Motulのフランス側ワークショップがある地元開催レースであり、チームにとってとても重要な1戦となる。
チームはシーズン前のプライベートテストや公式テストを順調にこなし、4月20日(土)の開幕レースを前に、士気を高めている。
昨年から継続であり、過去にこのルマン24時間レースで優勝経験のあるグレッグ・ブラックとエティエンヌ・マッソンに、新加入のイギリス人ライダー、ダン・リンフットとリザーブライダー兼開発ライダーとして抜擢された日本人ライダー渥美心が意気込みを語った。
グレッグ・ブラック
オフシーズンはあっという間だったね。スペインに1ヵ月滞在し、様々なバイクでのトレーニングとフィジカル面でのトレーニングを並行して行ったので、良いコンディションでいられたよ。
その状態でヘレスとバレンシアでのプライベートテストに参加し、その後ルマン開幕戦に向けて事前テストに臨んだんだ。
新しいチーフメカニックとも会って、以前から知り合いだったダンとは新たにチームメイトとして一緒に走ることができて良いテストだったよ。
チームは冬の間、新しいパーツの開発に懸命に取り組んでくれて、ウェット、セミウェット、ドライの異なったコンディションで有意義なテストができたよ。この期間は新しいパーツをテストすることが大事で、それに集中していたからスピードは追及していなかったけれど、それでも速く走ることができたし、全てのコンディションで良いペースを保つことができたよ。
スズキGSX-R1000Rは、ブレーキングとコーナー進入で優れているので、トラクションを向上させてオールラウンドのパッケージを目指してきたんだ。その重要な部分としてはタイヤのセットアップもあるけれど、ブリヂストンはウェットでもドライでも、路面温度が高くても低くてもいつも性能を発揮してくれるよ。
ルマンでの開幕戦はいつも特別に感じるけど、今年のシーズンイン、レースウィークが待ちきれないよ。
重要なのはウィークのテストでしっかり走って、まずは予選でのポイントを獲得すること。レースでは安定したペースでトラブルに巻き込まれないことだね。昨年はスタートで不運に見舞われたけど、間違いなく表彰台を狙えるペースだった。
レースは長いし、夜間走行で気温が下がる時間は難しいものだけれど、今年もチーム一丸となって戦うよ!
エティエンヌ・マッソン
長いオフシーズンを終えてチームとテストを再開できて、本当に嬉しかったよ。ヨシムラは最終戦以降、懸命に努力してくれて、レースペースを向上させるために様々な変更を加えてくれたんだ。同じバイクに乗りながら全く違うフィーリングを味わえて、興味深い進化だったよ。このスズキのマシンから最高のパフォーマンスを引き出すために、自分たちのライディングスタイルも適応させて今シーズンに挑みたいね。
グレッグとはチームメイトとしても友人としても長い付き合いで、冬場も何度か一緒にトレーニングをしたよ。ダンとは初対面だったけど、スペインのテストで一緒に過ごしてお互いによく知ることができたよ。
心は昨年のボルドールでリザーブライダーだったからもちろん知っているけど、彼がオフシーズンを通してマシンを改良するため沢山のテストを行ってくれたので、彼の開発作業に本当に感謝している。
ルマン24時間はもう目前に迫ってきているね。ここはコンディションが変わりやすい点でも有名だから天気をチェックしなくちゃ!
フラッグが振られてレースがスタートした直後は、どのチームも緊迫感があってライディングもベストとはいえないけれど、1~2スティント走れば目標に集中できるようになってリズムも安定してくる。
チームのクルー全員への信頼は厚いし、開幕戦に向けて身体を仕上げてきたのでレースに向けての自信はあるよ。
昨年はあれほど速くて強かったのに運に恵まれなくて本当に悔しい思いをした。今年はそれを払拭するだけの、さらに高いモチベーションでルマンのウィークを迎えられるので、シーズンエンドにはチャンピオンタイトル獲得ができると確信しているよ。
チームの全員が、勝利を心から望んでいる。だから大好きなチームと共に絶対にいいシーズンにしていきたいね!
ダン・リンフット
昨年の鈴鹿8耐で、ヨシムラと関わりの深いスズキチームから参戦した後、加藤陽平チームディレクターに連絡して「もしチームのシートが空いたら、自分にチャンスをくれないか」とお願いして今に至るんだ!
もし鈴鹿での経験がなければ、ヘレスとバレンシアでのテストはちょっとした衝撃だったかもしれないけれど、スズキGSX-R1000Rとブリヂストンタイヤのパッケージはとても乗りやすく、直ぐにリズムを掴めるようになったよ。グレッグやエティエンヌと身長や体格が似ているのも良かったんだろうね。
ルマンの事前テストでは、まずは感覚をつかむこと大事だと思ってあまり最初からプッシュはしなかった。チームの優先としても開発パーツのレースペースでの機能確認だったから、そのつもりで走っていたけれど、自然にいいペースでラップタイムを刻むことができたよ。
グレッグは2004年に知り合って、すでに長い付き合いなんだ。チームはとても良い雰囲気で、既に多くの時間を共に過ごして楽しんでいるよ。同じライダー同士がライバルではなくてチームメイトとして過ごすのは本当に良いものだよ。
世界耐久戦は楽しみな要素がたくさんあって、参戦が決まって本当に嬉しかった。定期的なスティント、走行時間の長さ、素早いピットストップ、ナイトセッション、そしてセッティングやテクニックの共有とフィードバック、チームで士気を高めていくという一連の流れがあり、素晴らしいレースだと思っている。新しいメンバーとして加入したばかりだけれど、ヨシムラSERT Motulは全てが上手く機能しているチームだとすぐに感じたよ。長年の努力と経験の結果として、全員が重要な役割を担いながら、シームレスに連携しているんだ。
今はとにかく開幕戦のルマン24時間が待ち遠しいよ。チームのホームラウンドとして特別なレースだし、勝つための準備はできているからね。 まだこの時期は寒くて、耐久レースとしてのあらゆる挑戦を経験することになるだろうね。正直言って午前2時から6時までのスティントはあまり楽しめないけれど(笑)、今は何に対しても準備ができてるって言えるし、グレッグやエティエンヌと一緒に自分の力を発揮できる事にワクワクしてモチベーションが上がっているよ。開幕の準備は万端だ!
渥美 心
まずはヨシムラSERT Motulのメンバーとしてチームと共に戦えることを嬉しく、また誇りに思っています。リザーブライダーとして予選までの走行ではベストを尽くし、万が一チームのライダーに何かあった際は最大限のパフォーマンスで走れるような準備はできています。他チームとは違い、開発を行ってきた自分がリザーブライダーとして帯同しているので、チームとライダーはどんな局面でも前向きに集中して決勝を迎えられると思います。
オフシーズン中に日本のテストチームメンバーと行ってきた開発作業により、今年のマシンは昨年より速く、コーナー進入から立ち上がりまでの全ての領域で安定性が向上しています。耐久レースは複数のライダーが異なるコンディションで走行しなくてはいけないので、安定性が増すことは非常に重要です。この開発を通して新しいパーツを日本でテストしてきましたが、この経験も新鮮で勉強になりました。
このルマン事前テストで乗ったマシンは、鈴鹿2&4とほぼ同じスペックなのですぐにリズムを掴めましたが、鈴鹿での走行と違った部分もありチームにはそういった情報共有もできました。
チームではみんなが協力し合って、とてもいい関係をつくれていますし、誰もが耐久レースで勝つ方法を知っているプロフェッショナルな集団なので、たくさんの事を学んでいます。レースやバイクの事だけでなく、自分は英語とフランス語も勉強中で、もっとチームのみんなとコミュニケーションをとりたいと思っています!
この事前テストでは、様々な路面コンディションでもマシンのパフォーマンスを引き出せたと感じていますが、オフシーズン中に改良されたスズキGSX-R1000Rと3人の速いライダーでのパッケージで挑むルマンがとても楽しみです。個人的には自己ベストの1分38秒941を更新するのが目標です。
24時間レースの良さは、何が起きても諦めずに戦い続ければチェッカーフラッグが振られるまでにチャンスが巡ってくる可能性があることです。
ヨシムラSERT Motulは、どんな時も諦めない強さと経験、そして高い士気があります。チームがやるべきことをしっかり行えれば、必ずルマンでの勝利に繋がると思っていますので、応援していてください。
ルマン24時間レースのイベントとして、4月17日(水)には参戦全48チームの車両がルマン市街をパレードし、大聖堂が佇む広場でのイベントも予定されている。
翌18日(木)からは公式セッションがスタート。フリー走行と予選1回目が行われ、続く19日(金)の予選2回目の結果をもとに、決勝のグリッドが決定される。
スタートセレモニーは2024年4月20日(土)現地時間14:00(日本時間21:00)から、そしてレーススタートの合図となるフラッグが15:00(同22:00)に振られ、長い24時間レースがスタートされる。