第36回大会 レースリザルト
日程 | 2013.07.24 , 07.25 , 07.26 , 07.27 |
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サーキット | 鈴鹿サーキット(三重県) |
ライダー | 津田 拓也 / 青木 宣篤 / ジョシュ・ブルックス |
予選 | 2位 |
本戦 | 2位 |
ヨシムラスズキレーシングチーム 2位表彰台を獲得
早々と梅雨明けが発表された2013年。第36回鈴鹿8時間耐久ロードレースの決勝レースは、例年よりいくらか過ごしやすく、路面温度も昨年の60℃オーバーというほどでもないコンディション。それでも、レース終了30分前に雨が降り出すなど、やはり最後まで波乱があり、チェッカーの瞬間まで息の抜けないレースになりました。
今大会のヨシムラスズキレーシングチームは、全日本選手権にも参戦している津田拓也をエースに、スズキMotoGPマシン開発ライダーである青木宣篤、そしてブリティッシュスーパーバイク(BSB)からジョシュ・ブルックスを呼び寄せてチーム編成。ちなみに、津田は8耐前の全日本選手権・筑波大会で、そしてブルックスも8耐前のBSBブランズハッチ大会でそれぞれ今シーズン初優勝を飾っており、まさに上り調子で8耐に臨むことになりました。
「鈴鹿8耐はこれで4度目かな。これまではチームヨシハルやサクライホンダから参加したことはあるんだけど、ヨシムラのようなビッグチームから走るチャンスをもらえて、本当にエキサイトしているよ。スズカは世界で一番チャレンジングで素晴らしいサーキットだと思う。世界中でも注目されているレースだし、誰もが出たいと思っているレースだから、ベストを尽くしたい、そうすれば素晴らしい結果が待っていると思うよ。」(ブルックス)
26日(金)
計時予選が開始された。各チームの第1/第2/第3ライダーがそれぞれ2回ずつ、30分ずつのタイムアタック。 チームベストタイムの上位10チームが、土曜日のトップ10トライアルへ進出できる。 第1ライダーは津田。津田はこの第1回目のセッションで、早々と2分07秒台にタイムを入れ、ジョナサン・レイ選手(ホンダ)を0秒16上回る2分07秒688でトップタイムをマーク。 第2ライダーの青木は2分09秒224で3番手タイム、第3ライダーのブルックスも2分09秒248で2番手タイムをマーク。 まさに上々の滑り出し。
2回目のセッション、第1ライダーの津田は、本番を想定しての中古タイヤでの走行に徹し、それでも2分09秒536マークし、2回のセッションを合計して、中須賀に続く総合2番手となりました。 青木は2分09秒109で2番手タイムをマークして総合3番手に、そしてブルックスは2分08秒台にタイムを入れて、2分08秒161で2番手、総合も2番手となり、ヨシムラは、公式予選総合結果で、#7 モンスターエナジーヤマハに続く2番手につけることができました。
「すごくいい雰囲気で予選が進められました。事前テストから進めてきたマシンは、セットアップもうまく進んで、すごくいいフィーリングになってきています。マシンはやはり全日本の仕様とは全く違っていて、全体的な開発を宣篤さんが進めてくれて、そこに僕が乗りやすいようなセッティングさせてもらっている状態。今日の予選は、まず上位10位以内に入ってトップ10トライアルに進むのが目標なので、これでOKだと思います。」(津田)
そして金曜日夜には、夜間走行のセッションも設けられ、ここでヨシムラはトップタイムをマーク。2番手の#11 TSRホンダに0秒52の差をつけての総合首位でした。
27日(土)
フリー走行をはさんでのトップ10トライアル。 これは、計時予選でトップ10に入った10チームのみが進出できるタイムトライアルで、1台ずつがコースインしてのタイムアタック。フリー走行では、ヨシムラがまたもトップタイムをマークし、勢いに乗ってのトップ10トライアルへ。2名のライダーが出走できるこのセッションへは、津田とブルックスが出走を予定していました。 しかし、トップ10トライアルの開始時刻直前にコースの一部に雨が降り始めたことで、1台ずつのタイムアタックが変更され、開始時刻を遅らせての40分間の走行セッションとなりました。これは世界スーパーバイク選手権の「スーパーポール」が、雨となると「ウェットルール」が適用されるものと同じこと。 ヨシムラはあらためて2名のライダーが出走し、決勝へのマシンセットアップ、チェックの時間に充てることができました。
心配された雨は本格的に降ることもなく、路面もドライコンディションでの走行セッション。 結果、津田がセッション早々にタイムを2分06秒台に入れ、暫定トップタイムをマーク。 しかし終盤に中須賀選手に先行されてしまい、総合2番手で終了。 ブリヂストンタイヤ装着勢ではトップとなり、決勝レースへ2番手グリッドからのスタートを切ることとなりました。
「拓也の06秒ってタイムはすごいね!今回はマシンの方向性を大きく変えて、とにかく8時間ずっとハイペースで走り続けられるマシンに仕上げたつもりです。それでこのタイムは、本当にスゴいこと。ジョシュも、BSBで走っているマシンとは仕様も違うし、こちらはブリヂストンタイヤ。けれど、マシンとタイヤの使い方を覚えるよう、僕の走行時間を削ってまで走ってもらったんだけど、いざ覚えたら速い!鈴鹿8耐、僕は2006年からヨシムラで参戦させてもらってますが、過去最高のマシンに仕上がってると思います。」(青木)
28日(日)
いよいよ決勝レース。朝行なわれたフリー走行を総合2番手で終えたヨシムラは、スタートライダーを津田に、いよいよスタート準備完了!鈴鹿は雲は多いものの、朝からキレイに晴れ上がり、気温もほぼ例年並み、いつもの「鈴鹿の夏」。しかし、コースには少しの風が吹き、猛暑と呼ぶにはもう一歩、ライダーの体力的負担も少しだけ軽減されそうなコンディションになりました。
11時30分、恒例のル・マン式スタートで8時間耐久が始まりました。2番手グリッドの津田選手はスタートよく飛び出し、誰よりも先に1コーナーに飛び込むホールショットを獲得。ヨシムラがこれまで何度も見せたこのシーン、津田選手は少しだけ狙っていたようです。 2番手にブロック・パークス選手(ヤマハ)、3番手に芳賀紀行選手(スズキ:Team KAGAYAMA)、4番手に高橋巧選手(ホンダ)を従えてオープニングラップがスタート。津田の後方では順位争いが始まっていたものの、津田はひたすら先頭を疾走。2周目には一時パークス選手の先行を許したもののすぐに抜き返し、津田がレース序盤をリード。 先頭集団はヨシムラ、#7、#99 BMWモトラッドフランス、#634 MuSASHi RT ハルクプロの4台となり、11周目には高橋選手がトップに立ち、津田は2番手へ。4台のトップ争いの中からパークス選手が後退するのと同時に、#11が先頭集団に加わり、20周目には清成龍一選手(ホンダ)が2番手へ、津田が3番手。開始1時間を迎え、最初のピットストップとライダー交代を迎えることになりました。
1回目のピットストップは25周目。 マシンの燃費を判断する上で重要な「スタートから25周回」を達成したトップ集団のチームは、ヨシムラの他、#634、#11、#01 スズキ・エンデュランス・レーシング・チーム(S.E.R.T.)となりました。 第2スティント、ヨシムラの第2走者はブルックス。トップを走るのは#634、2番手に#11、そして3番手がヨシムラ。 この3チームが4番手以下を10秒以上引き離してのトップ争いが続いていきました。 39周目にはレイ選手がハスラム選手をかわし、ランニングオーダーは#11、#634、そしてヨシムラ。 このセッションでは、#11のレイ選手がトップを快走してゆく中、ブルックスは2番手の#634レオン・ハスラム選手との差を詰めていく展開。 この3チームだけ53周目に2度目のピットインとなり、これで1スティント28周を達成できているトップチームも、この3チームだけとなりました。 ヨシムラの第3走者は青木。 オーダーは変わらず#11、#634にヨシムラが続き、青木は2番手#634までの差、約5秒を追い、4番手の#071 Team KAGAYAMAを30秒以上の差をつけて走行。ここで、トップを走る#11清成選手が転倒。ヨシムラは#634に続く2番手にポジションアップすることになりましたが、何とここでヨシムラにストップ&ゴーのペナルティが表示され、67周目に青木が緊急ピットロードへ。ピットロード出口で30秒のストップが義務付けられ、順位は一時4番手に転落。 しかし、#071 Team KAGAYAMA、#7のピットインが早く、青木は76周目に再び2番手に上昇。 第4スティントのブルックスへ交代することになります。
「マシンに飛び乗った時にバランスを崩してしまって、そのときピットレーンスピードリミッタースイッチに触れてしまったのか、ピットアウトした瞬間にアッとスピードが上がった瞬間があって、そこでスピードオーバーを取られたようです。せっかくいいムードで走っていたのに、申し訳ないことをしてしまいました。」(青木)
ピットアウト後、3番手まで約12秒のビハインドの4番手から追い上げたブルックスは、94周目にこの日のチームベストラップとなる2分09秒144をマーク。しかし、98周目にデグナーカーブ2つ目でブルックスが転倒を喫してしまいます。 それでもブルックスは、素晴らしく早いリカバリーでコースに復帰し、マシンのダメージも少ないと判断したことから、そのままピットインせずにレースを続行。ちなみに転倒を喫したラップも、その前の周からわずか30秒ほどしかタイムロスがなく、ブルックスは100周目に3番手に上昇し、101周目に2番手に上昇。ここで109周目に津田にライダー交代。トップまでの差は、約90秒にまで広がってしまいました。
「マシンの調子も良く、タイヤの状態も良かったから、少しプッシュしすぎてしまった。転倒した瞬間、チームのみんなの顔が頭をよぎって、このままハンドルバーを離すものか、とマシンに引きずられてグラベルに飛び出したんだ。おかげですぐに再スタートできた。フェアリングやサイレンサーにダメージはあったけれど、ハンドリングも正常、エンジンパワーも問題なかったから、そのまま走り出したんだ。」(ブルックス)
第5走者は2度目の登場となる津田。4番手でマシンを受け取った津田は、ブルックスの転倒でスクリーンを失ったマシンで力走を続け、118周目に#071 Team KAGAYAMAをパスして3番手へ、124周目に#1 S.E.R.T.のピットインタイミングで2番手に浮上。この時点で、トップを走る#634まで1周遅れ+45秒ほどのビハインドを追ってしまうことになりました。 レースは5時間を経過。 136周目にヨシムラがピットインしたタイミングでは、再び#071 Team KAGAYAMA、#1 S.E.R.T.に先行されての4番手。 第6走者のブルックスは142周目には#071のピットインで3番手に、146周目には#1をパスして2番手へ。 163周目のピットインで、再び#071に先行されて3番手となるものの、第7走者の津田が166周目に加賀山をかわして2番手へ。その後はピットインのタイミングで順位が変動することもなく、ヨシムラは残り1時間のタイミングで、トップを行く#634まで1周遅れ+10秒差の2番手を走行。 そして、レース終了1時間を残して雨が降り始め、なかなか本降りにならなかった雨は、残り30分あたりで激しくなり、ピットインしてレインタイヤに交換するチームも出る中、トップを走る#634とヨシムラは、ウェット路面をスリックタイヤのまま走行。209周目には、ブルックスが#634高橋をパスし、同一周回に持ち込み、その差はついに約2分に。しかし、そのまま雨も弱まったことで再び順位は固定し始め、ヨシムラは#634に続き、214周を走り切っての2位でレースを終えました。 今大会はサポートチームの「Team KAGAYAMA」が3位 表彰台を獲得。「S.E.R.T.」は4位入賞となり「POWERED BY YOSHIMURA」としてマフラー・エンジンの活躍が目立った大会となりました。