2023年EWCチャレンジ始動
4月15~16日にかけて、フランス、ル・マン ブガッティサーキットにおいて開幕する2023年FIM 世界耐久選手権の第1戦「24-Heures Motos」を目前に、Yoshimura SERT Motulは着実に準備を進めている。
3月末にル・マン ブガッティサーキットで行われたEWCの事前テストにおいては、昨年の同テストの結果を0.5秒以上も上回る1分35秒672をマーク、総合では5番手タイムを記録した。ル・マンを拠点とするYoshimura SERT Motulは3度目となる「24 Heures Motos」 優勝に向けて良いスタートを切った形だ。
2023年シーズンは、新たにエティエンヌ・マッソン選手が加入。マッソン選手は一昨年の発足からチームで戦うグレッグ・ブラック選手と共に2019/2020シーズンにおいてSERTをチャンピオンに導いたライダーであり、チームにとってなじみのあるメンバーである。もう一人のライダーは経験豊富なシルバン・ギュントーリ選手を継続採用。今年もYoshimura SERT Motulは強力なライダー陣を擁してチャンピオンシップに挑む。
今シーズン開幕に向けて、オフシーズンの間にも改善/改良を重ねてきたヨシムラとSERT。日仏2チームの豊富な経験とリソースを合わせて新規パーツの投入やセッティングの煮詰めなど細部の熟成を進め、GSX-R1000Rという信頼できるマシン、最高の技術を誇るテクニカルチーム、ミスのない熟練のピットクルーという布陣に大きな変更はなく、Yoshimura SERT Motulはシーズン開幕を万全の体制で迎えようとしている。
加藤陽平 チームディレクター
このチームの参戦初年度(2021年シーズン)は、他を圧倒してチャンピオンを獲得しました。我々の成功を受けてか、翌2022年シーズンはライバルチームも飛躍的に速くなったことを実感させられました。チャンピオンシップは以前よりも接戦になっていますので、我々も開発の手を緩めることなく、確実に進歩しなければなりません。参戦マシンのSUZUKI GSX-R1000Rに大きな変更はありませんが、数点の新規パーツでアップデートを果たしており、ヘレスとル・マンで行われたテストでは速いラップタイムを記録でき、手ごたえを感じています。ライダーや現場クルーからのフィードバックも良好ですが、このタイムに満足することなく常にレースペースを想定し、ライバルの前を行くレース展開に集中しています。例えば、既に高いレベルにあったピットワークを工夫し、さらに迅速なピットストップが可能となっています。
エティエンヌ(マッソン選手)は既に良いタイムを記録してスキルを発揮しており、チームは彼と共に戦えることを喜んでいます。グレッグ(ブラック選手)とシルバン(ギュントーリ選手)のトリオは、24時間レースのスペシャリストとも言えるメンバーです。私の目標は全3戦となる24時間耐久を全て勝利し、そして3人のライダーを鈴鹿8耐にも迎えることです。今からシーズンの始まりに、ワクワクしています!
ダミアン・ソルニエ チームマネージャー
ライダーラインナップは堅実で、技術も立場もイコールな3人となりました。エティエンヌはこのチームに合流しシルバンやグレッグと共に走ることを希望していましたし、3人は既にお互いのことを良く知っている間柄でした。最初のテストを終えた3人は、すぐに建設的なコミュニケーションをとることができ、バイクに対するフィーリング、意見、フィードバックを共有できました。このトリオはチャンピオン獲得において多大なる貢献をすることでしょう。
GSX-R1000Rは既にこれまでのレースで強さを証明してきたマシンであり、耐久性、スピード共に問題はありませんが、ヨシムラはオフシーズンの間にも開発の手を休めることなくさらに進歩させ、マシンだけでなくチーム全体の向上を図り、研究をしてきました。我々はピットボックス設営時間の短縮や給油時間の短縮など様々な部分で更なる改良を重ね、コース上だけでなく、常にピットでも最も効率的であることを目指しています。オフシーズン中、もちろんマシンも進化しなければいけませんが、チームも同時に進化しなければいけないのです。
我々にとっては、ル・マンでシーズンが始まることも楽しみな部分になります。なによりホームですから、家族や仲間が観に来ています。彼らが観ているからこそ、失敗は許されません! これまでル・マンでの24時間レースでは2連勝しています。今年は3連続の優勝でトロフィーを持ち帰りたいですね。同時に今年は、昨年逃してしまった年間タイトルも奪還するべく挑戦していきます。
グレッグ・ブラック選手
オフシーズンの間も様々なバイクに乗り続けていましたが、本格的なレーシングマシンに乗れない6か月はとても長く感じました。ヘレスで久しぶりにGSX-Rに乗り、すぐに感覚を取り戻せたのは嬉しかったですね。マシンは大きくは変わっていません。変わる必要がなかったですからね。オフシーズンの間、ヨシムラとSERTがブリヂストンと連携し、マシン本体も細かな部分でアップデートされ、既に良かったGSX-Rから更にもう一歩パフォーマンスを絞り出せるようになっています。
新たなセッティングに対してGSX-Rが見せた反応は興味深くかつ前向きで、ブガッティサーキットにおいてとても良く機能しました。ライバル勢もとても速く接戦が予想される中、GSX-Rから得られたこのポジティブな反応は我々ライダーに自信をもたらしてくれました。競争は熾烈になるでしょう。僕はエティエンヌと何年もチームメイトでいた経験があり、ここ2年はシルバンともチームメイトで、我々は3人とも勝利の経験を持ち合わせています。ル・マン24時間はもちろん、年間タイトル獲得に向けて持ち得る全ての知識とスピードを投入していきます
シルバン・ギュントーリ選手
2回の事前テストは問題なくこなすことができ、全てがうまく運んでいます。ル・マンは過去2戦で勝利していますが、3連勝へのプレッシャーは感じておらず、楽しみにしています。厳しいレースですが、ペースを守り常に100%で戦い抜きます。簡単なことではありませんがしっかり勝利をめざし、また失ってしまったゼッケン1も取り戻すべくチャレンジしていきます
エティエンヌ・マッソン選手
過去にSERTで走った時との大きな違いは日本チームであるヨシムラの合流とブリヂストンタイヤへのスイッチで、これらによりマシンの競争力が格段に上がった事を実感しています。
グレッグと再びチームメイトになれたのは代えがたい喜びです。彼とは共に多くの耐久レースで勝利を収めてきましたし、再びタッグを組めたのは新たな成功の物語が始まったような気分です。シルバンの経験と強さも十分知っているので、チームの全てが勝利するために機能設計されていると実感しています。チームもバイクも闘う準備はできています。ル・マン24時間が楽しみです
EWCクラス参戦チームは4月11日にブガッティサーキットで最終のテスト走行を行い、その後4月13日から2023年シーズン開幕戦「24 Heures Motos」のレースウィークが始まる。24時間耐久レース決勝は4月15日(土曜日)現地時間15:00 スタートとなる。(日本時間22:00)