ヨシムラ SERT Motul、スパ8時間に向けて発進!
ヨシムラSERT Motulは、4月に開幕した2024年FIM耐久世界選手権(EWC)第1戦で見事に勝利しチャンピオンシップをリードしている。そして6月8日(土)にベルギー伝統のサーキット、スパ・フランコルシャンで開催される第2戦に向けて、着々と準備を進めている。
スパがFIM EWC戦に組み込まれてからの過去2年は24時間の耐久レースが行われていた。この難易度の高い6.985kmのコースにおいて、ヨシムラSERT Motulは2022年/2023年ともレース中のファステストタイムをたたき出し、チームがチューンをしたスズキGSX-R1000Rの性能を発揮させていたが、転倒や予期せぬトラブルに見舞われて2年連続で4位。もう一歩のところで表彰台を逃している。今年8時間のレースへと変更されるため、速さだけでなく高い集中力が求められ、転倒やマシントラブルを回避していかねばならない。
シリーズ第2戦を目前に控え、ライダーはフランスで行われたル・マン24時間の勝利を振り返ると共にスパでの意気込みを語った。
グレッグ・ブラック
咋シーズンのボルドール、そして今シーズンのルマンとEWCの重要な2大会で連続優勝できたことは大きな励みになったよ。
特に開幕を迎えた時にチームの技術スタッフがオフシーズンに行った改良で、スズキGSX-R1000Rの戦闘力が上がっていたのは嬉しかったね。もちろんマシンは最新モデルではないけれど、ルマンでの結果の通りまだ僕たちの強さは見ての通りだよ。もうひとつ、いつも嬉しく感じるのはチームの雰囲気と家族の様な強い絆だね。今年は新チーフメカニックやライダーもダンの加入があったけれど、既存のクルーたちを含めてチームのコミュニケーションや交流がスムーズにできるから、自分の仕事に集中できるんだ。
第1戦が終わってからの事を話すと、僕はライディング関連の会社を立ち上げて、サーキット走行の講師といった仕事をする傍ら、この選手権に向けてサイクリングやジムに通ってトレーニングを行ったりして、本当に忙しかったよ。MOTULのエンデューロイベントにも数日参加して楽しい時間も過ごしたね。耐久でトップを争うスピードは必要ないけれど、僕の人生にバイクの時間を詰め込むのは大事だと思っているんだ。
スパのレースに向けて話すと、、、昨年は最速チームのひとつとして優勝争いができた筈なのに、ツキがなくて想定外のトラブルやロスで表彰台を逃してしまったから、今年こそチームのパフォーマンスを発揮して結果に繋げるよ。
今年のスパは8時間のレースになるから2~3スティントしか走らない。だから身体も集中力もバイクも最大限で攻められるね。スパのコースはストレートが長いから、ルマンの1スティント1時間から比べると燃費の関係で50分ほどの短いものになる。その事も考えるとハードにプッシュできると思うよ。
このサーキットは世界で最も素晴らしいコースの一つで、田園風景が広がり、起伏があり、ブラインドコーナーもあり、伝統を感じるよ。オールージュ~ラディオンのコーナーは有名だけれど、高速でテクニカルなのでコーナースピードでライダーの技量が良くわかるんだ。
今のいい流れで迎えるスパが本当に楽しみだよ。
エティエンヌ・マッソン
今シーズンは第1戦から勝利を掴めて本当に嬉しかったし、この流れで第2戦のスパに行くのが楽しみだよ。
ルマンの様な結果を出すと、次のレースに向けてモチベーションが湧き上がってくるよね。
今年のスパは24時間から8時間に短縮されるけど、僕は耐久レースでの経験が長く、何が必要かわかっているので、入念にレースへの準備を進めているよ。ルマンの後には更なるレベルアップのためにパーソナルトレーナーとフィジカルトレーニングのメニューを考えて、自分の身体の調整をしているんだ。
耐久レースで24時間や8時間といった時間の差があるけれど、24時間は本当の意味の耐久性が求められて、過酷でも僕は好きだよ。いずれにしても耐久レースは独特なモータースポーツで、他のバイクレースとは比較にならないドラマがあり、24時間であろうと8時間であろうと、他では味わえない感動を与えてくれる。
昨年、ヨシムラSERT Motulの一員として参戦したスパ24時間では、想定外のトラブルに見舞われてしまった。特にマシントラブルの修復作業で時間をロスしてしまったのが結果に響いてしまったけれど、僕たちは始終集中していて力強い走りができたから4位を死守できたんだ。
今年の8時間耐久に向けて話すと、非常に激しいレースが予想されるね。スパは高速サーキットで、6速全開で駆け抜けるコーナーもある。このテクニカルコースは他のサーキットでの走り方とは変わってくるし、集中力も体力も高い次元で必要とされるよ。
ヨシムラSERT Motulは本当に良いチームで僕はこのスピリットが大好きだよ。コミュニケーション力も結束力も高く、互いの信頼関係も高いので全てがスムーズに進むんだ。
チームが作り上げるマシンに乗るのはいつも楽しみだし、スズキGSX-R1000Rで走る毎ラップが楽しいんだ。
もうすぐスパのレースウィークになるけれど、今から待ちきれないよ!
ダン・リンフット
ルマンでの勝利は僕にとって嬉しさだけでなく大きな安堵感があったよ。日仏混合チームに新加入したイギリス人として、チームに溶け込みミスなく過ごすことは重要だと思っていたからね。
実際にはチームのみんなとはすぐに馴染めて、ずっと前からチームの一員だったような気さえしたよ。もちろんレースで最初のスティントは少しナーバスになったけれど、自分のリズムが掴めてからは順調だったし、チームの目標である優勝に向けて集中できたね。実際にそれが実現となり、自分もその勝利に貢献できたことでお祝い気分になったけれど、すぐに次のラウンドに集中して準備を行なってきたよ。
そうは言っても特に特別な事をしたわけではなく、ジム、ランニング、サイクリングやサーキットで日々のトレーニングを行ってきたんだ。レースの時間が8時間や24時間といった事は関係なく、EWCでの1スティント1時間という走行を軸に準備をしている。
EWCのフル参戦は今年からになるけれど、2022年にスパ24時間を走ったのでコースはよく知っているんだ。ウィークに入ったらまずはマシンでコースの感覚を呼び起こし、レースに向けてのペースとフィーリングを掴んでいくよ。
今年は8時間のレースだから、トップ争いは激しくなるだろうし全てのスティントで100%の力を発揮しなければいけないね。もちろんどのレースでもそうしているけれど、スパではレベルを一段上げるつもりだよ。
このベルギーの伝統あるコースは自分の好きなサーキットの一つで、1コーナーのヘアピンと最終シケイン以外は流れる様な高速コーナーで木立の中を駆け抜けるんだ。オールージュから続くラディオンの急勾配や切り返しでは毎ラップでスリリングな感覚を味わえるよ。
大好きなスパでヨシムラSERT Motulの一員として走れることになり、本当にワクワクしている。今年は夜間走行がないのも嬉しいね!
今からレースウィークが待ち遠しいよ。
スパ8時間耐久レースは6月6日(木)から8日(土)の開催。
期間中のスケジュールとしては木曜日にテスト、金曜日にフリー走行と予選が行われ、現地時間 土曜日の13時から21時(日本時間20時から翌日曜日の4時)で8時間の決勝レースが行われる。