第39回大会 レースレポート
日程 | 2016.07.28 , 07.29 , 07.30 |
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サーキット | 鈴鹿サーキット (三重県) |
ライダー | 津田 拓也 / ジョシュ・ブルックス / 芳賀 紀行 |
予選 | 2位 |
本戦 | 3位 |
2016年鈴鹿8耐は、エースライダーである津田拓也に、BSBチャンピオンであるジョシュ・ブルックス、さらに多くのファクトリーチームで世界を転戦してきた芳賀紀行を加えた三人で戦うこととなった。
「毎年可能な限りポテンシャルの高いライダーを三人揃えて戦いたいと調整しているが、様々な条件からなかなかベストな布陣が取りにくい。今年は理想的な三人となった」と吉村不二雄社長が評するように、スピード、強さを兼ね揃えたタフなメンバーで今年の鈴鹿8耐を戦えることになった。
今年の鈴鹿8耐は、例年とはやや異なるコンディションでテストから進んでいった。昨年は梅雨がなかなか明けず、テスト・レースウイーク共に雨に悩まされることが多かった、今年はそれとはまた違って気温が例年ほど上がらず、さらに走行前後のサーキットの利用状況からか、路面コンデイションが安定しなかった。そのため、三日間の予定で行われた第1回テストでは、路面コンディションの変化がチームの想定以上だったことから二日目のテスト終了後、スタッフが神奈川の会社まで戻り、部品を持ち帰って三日目のテストに備えるという強行軍を強いられることになった。
そうしたスタッフの強力なサポートにライダーも結果で応えようと、初日のテストではヨシムラのマシン初ライドとなった芳賀がいきなり22周のロングランテストを敢行。「新品タイヤの状態と、ある程度走行していく中での変化を理解してもらうため、ロングランテストをお願いしました。いきなりなので嫌がられるかと思ったのですが、当然のようにオーダーを受け入れ、しっかりとこなしてくれました」と加藤監督。着々と決勝へ向けた準備は整っていったのだった。
7月29日(金)公式予選
今年はレースへの参戦フォーマットが変更され、70台と枠が最初から決められた。そのために予選組は1組で行われる。またタイヤ使用本数制限も行われ、予選・決勝で最大20セットのタイヤ使用が可能とされた。標準的な作戦で考えると、決勝は7回ピットの8スティントとなり、各スティントすべてを新品タイヤで走ろうとすると、合計16セットが必要だ。となると予選は残り4セットで6セッションをこなさなければならない。しかしトップ10トライアルは上位10チームに入れば進出できるので、早めの周回でタイムを出してしまえばタイヤ温存も可能で、4セットで十分という考え方もできる。
レースウイーク初日となる木曜は、8耐恒例灼熱のサーキットを覚悟していたが気温はそれほど上がらず、しかも風があることから路面温度も50度前後と低め。そのようなコンディションの下、木曜に行われた2回のプライベート・プラクティスの1回目のセッションでチームは2分9秒779で5番手に付けての走り出しとなった。2回目のセッションになっても気温は変わらず過ごしやすい気候の中でタイムアップし、2分8秒933で2番手とポジションアップに成功した。
翌日は、三人のライダーがそれぞれ20分間という短い中での計時予選が2回行われる。午前中は予選に向けた2時間のフリープラクティスが設定されたが、開始早々に赤旗が出され、その後も3回ほど赤旗でセッションが中断。荒れた雰囲気の中、チームは2分9秒051で6番手となった。
午後からいよいよ20分間の計時予選を迎えた。気温は31度と朝とほぼ同じだったが、朝からの強い日差しによって路面温度は53度と上がった。20分間の短い時間の中でベストタイムを出す必要があるため、セッション最初からクリアラップを取ろうと多くのライダーがピットロード出口に集結。横10台に並んでコースインするというシーンが結果的に、全セッションで展開された。
このためにあちこちで渋滞が起きてしまい、接触もいくつか起きる事態となってしまった。
それに巻き込まれたのが津田で、第1ライダー2回目のセッションで接触され、デグナーコーナー2個目立ち上がりで転倒を喫してしまった。すぐにマシンを起こしてピットに戻ると、別のマシンでコースイン。タイムアタックを継続することができたのは不幸中の幸いだった。
計時予選で津田は1回目2分8秒537、2回目2分8秒248、ブルックスが1回目2分9秒110、2回目2分8秒959、芳賀が1回目2分9秒434、2回目2分9秒482をそれぞれマーク。津田のマークした2分8秒248がチームベストとなり、5番手でトップ10トライアル進出となった。
例年であれば60度前後まで路面温度は上がるのだが、今年はそこまでにならなかった。そのため、チームがテストから想定して準備してきた高温度から外れたコンディションにやや肩透かしを食ったような状況で、転倒というアクシデントもあったことから、予選では4セットをフルに使わず、タイヤを温存できるという思わぬ展開となった。「レースウイーク全体でタイヤマネージメントが重要なので、予選は少し抑える展開となりました。もう少し位置的に後ろになることも覚悟していたのですが、結果的に5位になることができ、順調だと思います。大事なのは決勝で、そこへしっかりと準備していきます」と加藤監督。
7月30日(土)トップ10トライアル
この日は午前中に4耐が行われるため、8耐のセッションは午後2時15分から45分間のフリー走行が行われ、トップ10トライアルが15時20分からとされた。この日も気温は28度と低めで、路面温度は53度とそれほど上がらない。
フリー走行がスタート。スタートして3分後、予定通りセーフティカーが入り、決勝中のシミュレーションが行われ、セーフティカーは約6分間入った。フリー走行再開直後、津田がこのセッションで最初に2分8秒台にタイムを入れてトップに立つ。結局、このセッションを2分8秒333のタイムで3番手に付けた。
トップ10トライアルは、最初に6位から10位までのチームが走り、その後に1位から5位までのチームが走行する。津田は昨年のウイナーチームの第1ライダーが2分6秒258と、この日のトップ10トライアル初の6秒台をマークし、場内を沸かせ、その余韻が残る中で登場。セクター1のタイムでそのヤマハチームのタイムを0.075秒上回る速さを見せ、続くセクター2でも0.158秒上回り、場内をさらに沸かせた。残念ながら続くセクションではタイムを上げられなかったが、それでも2分6秒台へ入れる2分6秒405をマーク。芳賀は2分8秒310を記録しこの結果、決勝は2番手スタートとなった。
7月31日(日)決勝レース
いよいよ決勝のスタートを迎えることとなった。スタート時点の気温は36度、路面温度は54度。このウイークの中ではかなり気温、路面温度とも高め。スタートライダーの津田はうまい飛び出しを見せ、2番手で2コーナーを立ち上がる。そのままオープニングラップを2位で通過し、さらにペースを上げていきたいところだが今一つタイムが伸びず、2周目3位、3周目4位と順位を下げてしまう。結局最初のスティントを4位で終え、津田はマシンをブルックスに渡す。このピットインの間に他チームのトラブルにより順位を一つ上げた状態でピットアウト。ここで前を追いたいところだが、テストからブルックスはソフト目のタイヤをリアに選択しており、本格的な暑さとなった決勝のこのスティントもそのタイヤを選択。しかし路面との相性が今一つで、タイムが2分10秒台と前を走る9秒台のマシンを超えるレベルまでには上がらない。ブルックスは3位のまま、マシンを芳賀に託す。
芳賀は気温が上がり、本格的な真夏日となったコンディションの中、2分10秒から12秒の間でラップ。このスティントで、2位を走るホンダのマシンがストップしたことで、順位を一つアップする事ができた。しかし芳賀の後ろから#87カワサキがペースアップし、抜きつ抜かれつのバトルになったが、パスされて3位となり、その位置のまま、津田のスティントとなった。ピットインのタイミングもあり、津田は2位に浮上し、その位置をキープ。さらにブルックスのスティントも2位を維持し、芳賀のスティントになった。ここでまたしても芳賀と#87カワサキとのバトルとなり、パスされて3位に。なんとかその差をその後の津田、ブルックスが埋めようとトライしたが、そのまま3位でチェッカーとなった。