基本情報

ここではエンジンのパワーアップチューニングをした際に見落としがちな事柄を挙げてみようと思います。

<クラッチの強化>

見落としがちというよりも「大丈夫だろう」という感じでなかなか予算を割きにくいのがクラッチ等の伝達系部品です。ちなみにXR/APE/NSFのエンジンでは、13馬力を超えたあたりから強化クラッチが必要になってきます。マフラーとキャブレターとヘッド&排気量をアップした場合は必ずクラッチを強化する必要があるとお考えください。
また、小排気量車では半クラッチを使用する場面が多いと思いますが、半クラッチを使用しすぎるとレバーが張ってきたり、焼けて滑りやすくなります。
ヨシムラの強化クラッチキットはGSX-R1000用の強化クラッチと同じ素材で作られています。半クラッチ特性が良く、耐熱性やレバーの張りに強いのも特長です。

<駆動系の定期交換>

パワーを上げて、しかもサーキット等の過酷な使用条件では駆動系に注意が必要です。XR/APE/NSFのクラッチハウジングの中にはダンパーが入っています。このダンパーは樹脂で出来ており、設計値以上の力が加わったり、過酷な熱サイクルが繰り返されるとクラックの原因になります。また、クラックが無くても硬化するだけでチェーンやギアへの負担が大きくなります。サーキットを2,000kmも走行したら新品に交換するべきだと思います。

<ギア比の調整と回転数の制限>

次にエンジンのパワーが上がると必然的にギア比もロング (高速設定) に出来ます。また、ミニバイクでは「ロングに出来る」というより前に、回転リミッターがない為に「ロングにする必要がある」のが現実です。
ヨシムラヘッド88・125&115キットでは、12,500rpm (ヘッド通常仕様) を使用限界として設計しています。全てのギアで12,500rpm以上回らないようにファイナルを設定してください

<オイルの選定>

排気量アップを含むチューニングを施した空冷のレーシングエンジンで、サーキットを走行する。これはオイルにとっては最も過酷な状況です。「ミニバイクだから安くても.....」というのは、この場合逆です。1000ccでも水冷であればオイルに対する要求はもう少し低くなります。少々高価でも熱せん断特性や熱サイクルに強いオイルを使用しましょう。
ヨシムラでは「シェルアドバンスウルトラ4 10W-40」を推奨します。)